入浴で美しい肌になるために

湯船に浸かると心も肌も和らぐと感じませんか?入浴には幸福度が上がるというデータがありますが、入り方によって肌の潤いやバリア機能に変化をもたらします。美しい肌を手にいれるための入浴について、考えてみましょう。

 

入浴のメリット

日本人が毎日入浴するようになったのは、銭湯が普及した江戸時代。昭和には家庭のお風呂が全国的に普及し、今では約78%の人が湯船に入る習慣があるそうです。入浴には、美肌はもちろん、心身への様々な効果があります。
一つ目は温度による効果です。温かいお湯に浸かることで温められた血液が体の中を巡り、体を芯から温めます。それにより新陳代謝が活発になり、筋肉や関節のこわばりを和らげ、副交感神経が優位になることで心身をリラックスさせます。入浴によって体温が38度くらいまで上昇すると「ヒートショックプロテイン」というタンパク質が生成され、傷ついた細胞の修復や免疫機能を強化します。
次に水圧の効果です。お湯の圧力で内臓が押され横隔膜を押し上げて肺を圧迫することで、呼吸の回数が増えて心肺機能を高めます。また、血液を心臓のほうへと押し上げるため、むくみの改善にも繋がります。
さらに浮力の効果もあります。全身浴は空気中と比べ体重が約10分の1になるため、特に下半身への負担が減少します。膝や腰などの痛みを軽減し、体が動かしやすくなり筋肉にたまった疲労物質を分解し、代謝を促進します。
そして肌にとっては、清潔を保つという大きな目的を果たします。1日過ごした皮膚の表面には古い角質や皮脂、汗などが蓄積されています。また、ほこりや汚れ、化粧品なども付着しています。入浴によってこれらが洗い流され、さらには汗の出口をふさいでいる垢や塩分も取り除かれて、汗が出やすくなります。
このように入浴にはさまざまな作用がありますが、入浴後に腕や足が白くカサついた、と感じたことはありませんか?お風呂上がりの肌はしっとりするように思いますが、実際には水分が蒸発しやすい状態になっているのです。

 

入浴による肌の変化

私たちの肌は表皮と真皮からなり、表皮のいちばん外側を角層が覆っています。この角層は細菌などの侵入を防ぎ、紫外線などの外的刺激から体を守るバリア機能と、皮膚の水分量を20~25%に保つように調節する水分保持機能を持っています。角層に含まれる水分量が、肌の柔らかさやしなやかさに大きく左右します。
入浴中は角質に水分が浸透し、細胞が膨らみます。同時に皮膚表面の皮脂膜が溶け、皮脂、細胞間脂質、天然保湿因子(NMF)なども洗い流されます。ですが、水分が内側に浸透していくため、肌はみずみずしさを保っているように見えます。
このような状態が続くのは15分から30分のみ。以降は入浴前の状態に戻ります。皮脂腺の少ない腰、上腕の外側などは乾燥しやすく、42度以上の高温での入浴や、ぬるい湯でも長湯、1日に何回も入浴をしたり、石けんでごしごしと洗ったりすると肌が荒れてしまいます。
日本の水の多くはカルシウムやマグネシウムの含有量が少ない軟水です。軟水は油性の汚れを落とす石けんの効果を高めます。また油性の汚れが浮きやすくなるので、洗浄力の強い石けんを使ったりごしごしと擦ったりしなくても汚れは落としやすい状態になっています。

 

美肌のために入浴で気をつけたいこと

浴槽に入る前は掛け湯をして、40度ほどの湯に15分程度ゆっくりと浸かりましょう。
柔らかいタオルなどで石けんをよく泡立て、肌をなでるようにやさしく洗いましょう。
肌についた石けんにゃシャンプーは綺麗に洗い流しましょう。
入浴剤を使用して肌への刺激を和らげ、保温保湿効果を高めましょう。
入浴後はボディローションやミルクなどで、肌に水分と脂分をじゅうぶんに補充しましょう。

入浴には心身のリフレッシュだけでなく、美肌に繋がる要素がたくさんあります。毎日の入浴で美しい肌を保ちましょう。

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