紫外線が気になるのは、肌だけでなく髪も頭皮も同様です。夏は海水浴やプール、冷房や汗でも髪は痛んでしまいます。髪質やヘアスタイルはその人の美しさを完成させる要素のひとつ。髪にも過酷な夏の季節に、艶やかで若若しい美しさを完成させるために髪の健康について掘り下げていきます。
ヘアサイクル
もともと毛は、皮膚が変化してできたものと言われていて、その数は母親の胎内にいるときにすでに決まっています。私たちの毛髪は、「毛根」と言われる部分と皮膚の表見に出ている、いわゆる髪の毛として見える部分「毛幹」に分けられます。毛根の奥にある毛球で、髪の元となる毛母細胞が毛乳頭からの指示で細胞分裂を繰り返し、角化したものが毛髪です。毛髪(毛幹)は角化した死んだ細胞ですが、押し出されるように伸びていきます。1日に平均で0.35mm伸び、夜より昼、秋冬より春夏の成長のほうが早いと言われています。
毛髪の寿命は男性で2~5年、女性で4~6年。その間に伸び続ける成長期、活動を止め毛根が浅い位置に移行する退行期、自然に抜ける休止期というヘアサイクルを繰り返します。髪全体の約15%が退行期や休止期にあたり、平均的に1日50~60本の抜け毛が起こります。
夏に髪が痛む原因
毛髪(毛幹)は毛表皮(キューティクル)、毛皮質、毛髄質の3構造で、主成分はケラチンというタンパク質です。髪の美しさを左右するのはキューティクルの状態。キューティクルは毛根から毛先へ、ウロコのように角化した細胞が重なり合っています。これが外部からの刺激で剥がれたり、傷ついたりすると髪の内部を保護できなくなり、通常含んでいる11~13%の水分が逃げてしまいます。
夏の強い紫外線は髪の天敵。紫外線によって、キューティクルの結びつきが弱まると、その隙間から栄養分や養分が流出してしまいます。その結果、髪は乾燥して艶がなくなり、枝毛や切れ毛が増えます。さらに傷ついた状態の髪が紫外線を浴び続けると内側にあるメラニン色素も破壊され、髪の色が赤茶ける原因に。頭は顔の2倍以上の紫外線を浴びています。頭皮の状態が悪くなると、毛根の力が衰え抜け毛が増えたり細くなったりと悪影響が出てきます。
夏の海は特に要注意です。海水は濃い塩分を含んだアルカリ性。髪はアルカリ性に弱く、また水で濡れることで柔らかくなり摩擦で傷つきやすくなります。膨張してキューティクルが広がると、栄養素が流れ出る原因に。その状態で浴び続ける紫外線はさらに追い打ちとなります。
プールのように塩素濃度の高い水にも用心が必要です。長時間さらされるとキューティクルのタンパク質が変質してキューティクルが剥がれやすくなります。また、汗の塩分は海水同様に髪を傷つけることに。汗が乾くときには髪の水分や油分も一緒に蒸発するので、乾燥が進みます。冷房の冷風によっても汗が急激に乾き、髪の水分と油分が奪われてしまいます。
毎日のヘアケアで美髪に
ヘアケアの基本はスキンケアと同じです。洗髪の目的は髪と頭皮の汚れを落とし清潔にすること。自分にあったヘアケア商品を選びましょう。
美しい髪を育てるには土台となる頭皮が重要になります。ほかの皮膚に比べて皮脂腺や血管が多く新陳代謝が活発なので洗顔同様に、まずは肌を傷つけずにきちんと汚れを落とすこと。ただし、必要な脂分まで落としてしまうと乾燥し、頭皮が硬くなってしまいます。適切な洗浄力と潤いを補うシャンプーで頭皮の状態を整えましょう。
美しい髪を保つためには、洗い方が大切です。まず、シャンプー前のブラッシングで髪や頭皮の汚れを払うと同時に、頭皮の血行も促します。お湯はぬるめにし、シャンプーは指の腹を使って頭皮をマッサージするように洗います。凝りやすいところを意識して揉み込むようにするのもよいです。頭皮用のマッサージ器も有効です。そして、しっかりとすすいでから、トリートメントは髪になじませ、しばらくおきます。洗髪後は摩擦を減らすように、髪をタオルで包んで水分を拭き取ります。
日常のケア
毛髪はタンパク質が主成分です。ぜひ次のことを心がけてみてください。